派遣社員は退職金をもらえるの?適用される制度や注意点を解説
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派遣社員として働きたいと考えており、退職金はもらえるのか気になっている人もいるでしょう。派遣社員に適用される退職金制度の条件を満たしている場合、退職金を受け取れる可能性があります。具体的には、どのような制度や条件があるのでしょうか。
この記事では、派遣社員の退職金について詳しく解説します。退職金の基本的な仕組みに触れたうえで、派遣社員の退職金の決め方や派遣社員に適用される退職金制度などについて説明します。ぜひ参考にしてください。
<目次>
・1. 退職金の仕組み
・2. 派遣社員は退職金をもらえる?
・3. 派遣社員の退職金の決め方
3-1. 労使協定方式
3-2. 派遣先均等・均衡方式
・4. 派遣社員に適用される4つの退職金制度
4-1. 派遣会社の退職金制度
4-2. 退職金の前払い制度
4-3. 中小企業退職金共済制度
4-4. 派遣先の退職金制度
・5. 退職金(待遇)について派遣社員への明示・説明が義務化されている
5-1. 雇入れ時・派遣時
5-2. 派遣労働者から求めがあった場合
・6. 派遣社員の退職金に関する注意点
6-1. 派遣会社によって退職金制度は異なる
6-2. 退職金について不満がある場合は派遣会社に相談する
6-3. 退職金以外の待遇についても確認しておく
・7. 派遣社員として退職金をもらえない場合の対策は?
7-1. 貯蓄や私的年金で資金を増やす
7-2. 退職金制度のある会社に転職する
7-3. 給料や時給の高い仕事を探す
・8. 高時給の仕事を探すならTMJ
・9. 派遣社員の退職金制度について理解しておこう!
1. 退職金の仕組み
退職金とは、退職や解雇の際に労働者へ支給される賃金です。企業によっては「退職金」ではなく、「退職手当」や「退職慰労金」と呼ばれている場合もあります。法律上、退職金制度を設ける場合は、支給条件や支払い方法などを就業規則に記載しなければならないとされています。ただし、退職金制度を設けるかどうかは各企業の判断に委ねられており、退職金の支給は義務ではありません。そのため、退職金制度の有無や支給条件は企業によって異なります。
2. 派遣社員は退職金をもらえる?
派遣社員であっても、制度や条件によっては退職金を受け取れる可能性があります。ただし、すでに触れたとおり、企業によって退職金制度の有無や支給条件は異なるため、すべての人が必ずもらえるわけではありません。
2020年4月に派遣法が改正され、「同一労働同一賃金」の観点が重視されるようになりました。同一労働同一賃金は、雇用形態によらず、同じ仕事をしている人が同じ待遇で働けるようにする考え方です。これにより、退職金についても、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の格差の是正が求められています。
厚生労働省が作成した「同一労働同一賃金ガイドライン」には、退職金に関する明確な記載はありません。ただし、「この指針に原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる。」とされています。
引用元:同一労働同一賃金ガイドライン
3. 派遣社員の退職金の決め方
同一労働同一賃金の観点により、派遣社員の賃金は「労使協定方式」または「派遣先均等・均衡方式」で決定されます。派遣社員の退職金についても、いずれかの方式で決定します。以下で、労使協定方式と派遣先均等・均衡方式について確認しましょう。
3-1. 労使協定方式
労使協定方式とは、派遣会社と派遣労働者が交わした協定に基づき、待遇を決定する方式です。派遣会社と派遣社員による話し合いで待遇が決まるため、派遣先企業は待遇の決定に関与しません。労使協定方式には「派遣会社の退職金制度」「退職金前払い制度」「中小企業退職金共済制度」の3つの退職金制度があります。
派遣会社の多くは、労使協定方式を採用しています。厚生労働省が公開している資料によると、労使協定方式を採用している派遣会社は88.2%、派遣先均等・均衡方式を採用している派遣会社は7.8%でした。
※参考:労働者派遣事業報告書に添付される労使協定書の賃金等の記載状況について(一部事業所の集計結果(令和3年度))| 厚生労働省
3-2. 派遣先均等・均衡方式
派遣先均等・均衡方式とは、派遣労働者の待遇を派遣先企業の正規雇用労働者に合わせる方式です。派遣労働者の待遇を決めるには、派遣先企業の正規雇用労働者の待遇に関する情報が必要となるため、派遣先企業は派遣会社に対して情報提供をしなければなりません。
派遣先企業の制度に則って待遇が決まるため、派遣先企業が正規雇用労働者向けの退職金制度を設けていなければ、派遣労働者も退職金を受け取れません。
4. 派遣社員に適用される4つの退職金制度
職金制度がある場合、派遣社員には「派遣会社の退職金制度」「退職金の前払い制度」「中小企業退職金共済制度」「派遣先の退職金制度」のいずれかが適用されます。各退職金制度における退職金の決め方は、以下のとおりです。
退職金の決め方 |
退職金制度 |
---|---|
労使協定方式 |
|
派遣先均等・均衡方式 |
派遣先の退職金制度 |
以下では、派遣社員に適用される4つの退職金制度について詳細を解説します。
4-1. 派遣会社の退職金制度
派遣会社の退職金制度は、派遣会社が派遣社員のために制度を設けて退職金を支給する方法です。支給条件についても、派遣会社が独自に基準を設けています。具体的には、勤続年数をはじめとする条件が定められています。
派遣会社では、退職金の支給条件として3年以上の勤続年数を規定しているケースが多いです。勤続年数が増えるほど退職金の額も上乗せされます。
ただし、この場合、実際には退職金をもらえないパターンが多いです。登録型派遣にはいわゆる「3年ルール」があり、派遣労働者が同じ派遣先企業の同じ職場で働ける期間は3年までと規定されています。3年以上の勤続年数を実現できるケースが少ないため、退職金を受け取れる可能性は低いといえます。
4-2. 退職金の前払い制度
退職金の前払い制度は、退職金を分割して賃金に上乗せして支給する方法です。この場合、退職金は「時給×6%」で計算して賃金に上乗せされます。2018年の労働政策審議会同一労働同一賃金部会において、一般退職金の費用の水準は「一般基本給・賞与等の6%」と示されています。
※参考:不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル | 厚生労働省
前払い制度なら毎月の給与額が上がるため、仕事に対するモチベーションもアップさせられます。また、働く年数にかかわらず退職金を受け取れます。ただし、一度にまとまった金額を受け取れるわけではない点や、退職金も賃金とみなされて課税対象になる点には注意が必要です。
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4-3. 中小企業退職金共済制度
中小企業退職金共済制度は、派遣会社が中小企業退職金共済に加入し、派遣社員が退職する際に退職金を受け取れるようにする方法です。中小企業退職金共済は公的退職金制度であり、企業の代わりに社員の退職金を管理しています。中小企業退職金共済に加入する場合、企業は掛金を支払います。また、派遣社員が退職金を受け取るには、自分で手続きしなければなりません。
派遣会社が中小企業退職金共済に加入していると、仮に派遣会社が倒産しても退職金の受け取りが可能です。
4-4. 派遣先の退職金制度
派遣先均等・均衡方式を採用している場合、派遣先の退職金制度に則って派遣社員の退職金が支給されます。退職金の支給条件や計算方法は、派遣先企業の就業規則によって決まります。退職金は派遣先企業が負担し、派遣会社を介して退職する派遣社員へ支払われる仕組みです。
派遣先企業の退職金制度に則って退職金を支給するには、派遣先企業の正規雇用労働者の待遇に関する情報を派遣会社へ開示しなければなりません。金銭面の負担も大きいため、派遣先の退職金制度を活用しているケースは少ないでしょう。
5. 退職金(待遇)について派遣社員への明示・説明が義務化されている
派遣法では、退職金を含む待遇について派遣社員へ明示・説明する義務が定められています。以下から詳細を解説するので、派遣社員として働く際はよく確認しましょう。
5-1. 雇入れ時・派遣時
派遣社員の雇入れや派遣をする際は、待遇に関して詳しい説明をする必要があります。法改正により従来定められている事項に加えて、雇入れ時や派遣時に明示・説明が必要になった事項をまとめると以下のとおりです。
【雇入れ時】
1.労働条件について書面などで明示すべき事項
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・派遣労働者からの苦情への対応方法
・労使協定の対象になるか(対象になる場合、有効期間はいつまでか)
2.不合理な待遇差を解消するために講ずる措置の内容に関する説明
・派遣先均等・均衡方式による措置の内容
・労使協定方式による措置の内容
・職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験その他の就業の実態を勘案してどのように賃金を決定するか
【派遣時(労働条件について書面などで明示すべき事項)】
・賃金(退職手当や臨時の賃金以外)の決定に関する事項
・休暇に関する事項
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・労使協定の対象になるか(対象になる場合、有効期間はいつまでか)
なお、派遣時においても労働条件についての明示のほか、雇入れ時と同様に不合理な待遇差を解消するために講ずる措置の内容に関する説明を行う必要があります。
5-2. 派遣労働者から求めがあった場合
派遣社員から待遇について質問があった場合、派遣会社はそれに応じて説明する義務があります。
労使協定方式では、話し合いにより決定した事項について改めて派遣労働者から質問があれば、派遣会社は必ず答えなければなりません。派遣先均等・均衡方式では、比較対象となる派遣先企業の正規雇用労働者との待遇差の詳細や、待遇差が発生している理由などについて具体的に説明する必要があります。
6. 派遣社員の退職金に関する注意点
派遣社員の退職金については、気をつけたい点もあります。ここでは、派遣社員の退職金に関する具体的な注意点を解説します。
6-1. 派遣会社によって退職金制度は異なる
採用している退職金制度は、派遣会社によって異なります。同じ働き方をするとしても、退職金の決め方や退職金制度によって実際に退職金を得られるかどうかは異なります。また、退職金を得られるとしても、金額に違いが生じる可能性が高いです。
派遣会社を選ぶ前に派遣会社のホームページをチェックし、退職金に関する取り決めを把握しておきましょう。分からない点があれば、後で直接派遣会社の担当者に質問して確認してください。
6-2. 退職金について不満がある場合は派遣会社に相談する
すでに触れたとおり、退職金に関しては派遣会社が派遣社員に対して説明する義務があります。不明点や不満な点については、就業の前後にかかわらず派遣会社の担当者へ問い合わせて確認しましょう。
特に、退職金に不安がある場合は、早めに相談すべきです。不安な気持ちを抱えたまま働いていると仕事に対するモチベーションも下がるため、確認したい内容があればその都度質問してください。
6-3. 退職金以外の待遇についても確認しておく
派遣社員として安心して働くためには、退職金以外の待遇も重要です。退職金と同様、他の待遇についても派遣会社は派遣社員へ説明する義務があります。そのため、退職金以外の待遇についても、不明点や不安な点があれば質問しましょう。具体的には、退職金以外に受け取れる手当や福利厚生などについてよく確認する必要がある人もいるでしょう。待遇は派遣会社によって異なるため、過去に別の派遣会社で働いた経験がある場合も改めて確認すべきです。
7. 派遣社員として退職金をもらえない場合の対策は?
そもそも退職金制度が整備されていなかったり、条件を満たしていなかったりする場合は、退職金がもらえません。退職金をもらえないと、将来の資金について不安を感じる人もいるでしょう。ここでは、退職金をもらえない場合の対策を紹介します。
7-1. 貯蓄や私的年金で資金を増やす
退職金制度を利用できない場合は、貯蓄や私的年金を利用して働きながら資金を増やしましょう。コツコツ貯蓄するのが苦手な人も、銀行で定期預金の口座を開設すれば自分で意識しなくても自然に資金を積み立てられます。
また、私的年金としては、iDeCoや個人年金保険などがあります。iDeCoは、個人型の確定拠出年金です。月額5,000円から積立ができ、掛金は全額が所得控除の対象です。個人年金保険は民間の保険会社が扱っており、商品によって特徴が異なります。返戻率やサポートの充実度も考慮して選びましょう。
7-2. 退職金制度のある会社に転職する
どうしても退職金を得たいなら、退職金制度がある会社への転職を目指しましょう。企業全体をみれば、退職金制度がない企業は少数派です。実際に厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、30人以上の従業員がいる会社のうち退職金制度を設けていない会社は19.5%となっています。この結果を踏まえると、転職活動に取り組めば、退職金制度がある会社へ転職できる可能性は十分にあるといえるでしょう。
勤続年数を基に支給する金額を計算している企業の場合、早めに転職して長く働けばその分だけ退職金を増やせます。退職金を重視している人は、計画的な行動が必要です。
7-3. 給料や時給の高い仕事を探す
退職金制度がないものの、給与や時給が高く設定されている仕事もあります。そのような仕事に就いて自分で計画的に資金を貯めておけば、退職する際に退職金を受け取れなくても問題ないでしょう。手元にまとまったお金があれば、退職前に何らかの理由により資金が必要になっても困りません。
退職金がある会社へ転職する方法もありますが、働きながらできるだけたくさん収入を得ておくという解決策もひとつの選択肢として考えてみてください。
8. 高時給の仕事を探すならTMJ
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9. 派遣社員の退職金制度について理解しておこう!
派遣社員でも、条件を満たせば退職金を受け取れる可能性があります。派遣会社がどのような制度を設けているか確認し、退職金の有無をチェックしましょう。企業は退職金を含む待遇について説明する義務があるため、不明点は積極的に派遣会社の担当者に質問してみてください。
退職金がない場合も、給料や時給の高い仕事を選べば貯蓄や私的年金で資金を増やせます。
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